スカイ・ウィング 16歳 男

 少年は18歳になるまで、若い両親のもとで幸せに暮らしてきた。
 だが、彼を付けねらうものはたくさん居た。
 魔物や人間の犯罪者、果ては・・・実験に失敗して生まれた亡霊まで。

 なぜ、彼は狙われなければならないのか?
 答えは簡単だ。
 なぜなら、少年は勇者だからだ。
 世界を滅ぼす魔王を打ち倒す力を先天的に持った・・・勇者なのだから。

 それでも、家族に守られ、友人に助けられ・・・少年はここまで育った。
 ・・・なにより、少年には最も頼りになる戦士が居たのだ。

 ミルス・シータ。
 槍を主に扱い、まるで飛翔するかのごとく駆け回り
 スカイを狙うものどもを蹴散らす、東方不敗の槍術士。
 戦士は歳をとらず、少年が剣を取るその日まで見守っていた。
 そんな戦士を、少年はただひたすらに敬っていた。
 そして・・・旅立ちの日。

 少年は隣町の僧侶、ファミルを仲間にすべく、
 たった一人で出かけていく。・・・勇者の儀式だからだ。
 それは難なくうまくいき、生まれ育った村へ・・・帰ったはずだった。

 だが、そこにはすでに村はなかった。

 ・・・そこにあったのは、赤に染まった惨状であった。
 ごうごうと火は燃え盛り、逃げ遅れ焼き殺される村民たち。
 そして、村の中心で・・・いま我が母に止めを刺さんとする
 ミルスの姿があったのだった。
 戦士は、絶命した母から槍を抜き、その場から・・・立ち去った。

 

 

 

 少年は・・・復讐の鬼となった。

 

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